「激動するもの」
さういふ言葉で言へないものがあるのだ
さういふ考方に乗らないものがあるのだ
さういふ色で出せないものがあるのだ
さういふ見方で描けないものがあるのだ
さういふ道とはまるで違った道があるのだ
さういふ図形にはまるで嵌らない図形があるのだ
さういふものがこの空間に充満するのだ
さういふものが微塵の中にも激動するのだ
さういふものだけがいやでも己を動かすのだ
さういふものだけがこの水引草に紅い点々をうつのだ
詩 : 高村光太郎 「激動するもの」
仮名文字
麻, 墨
2 m x 45 cm x 5 枚
2017