パフォーマンス : 樹々の散歩 – 松井ユカ マチュー・セゲラ マーグ財団美術館にて 2024年7月26日

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés

数々の樹木、禅の庭、そしてマーグ財団美術館の展示作品をテーマにした書的で、詩的なアート散歩

2024年7月26日の午前と午後の二回に渡り、日本人アーティストの松井ユカが、ミロの迷宮からジャコメッティの中庭まで歩き周りながら、美術館庭園内にある植物(樹々)や鉱物(石)、展示作品、そしてマーグ財団美術館の60周年記念へオマージュを捧げる6つのパフォーマンスを行った。

演出 : マチュー・セゲラ

I – 歩く松

( 場所:ミロの「アーチ」から松の木まで、ミロのセラミック壁画の前 )

© Matthieu Séguéla

松井ユカは、木をモチーフに描いた大きな暖簾からステージに登場する。彼女は黒塗りの盆を持ち、その上に松の枝が置かれている。伴奏は雅楽。

II – 木グラフィー

(場所:ミロのセラミック壁画の前)

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés

アーティストは、松の木の近くで迷い込み、そこで幹の周りに巻かれた和紙に、植物の筆で松を描く。観客の前で「木グラフィー」を制作する。

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés

同時にマチュー・セゲラによるアンリ・マティスの「木」に関する文章(抜粋)の朗読。

© Philippe Marinig

午後の部で松井ユカが制作した「木グラフィー」

III – 語る木

(樫の木の下)

© DR

松井ユカは、マーグ一家が大切にしている樫の木の枝に吊るした60個の「風鈴」(マーグ財団60周年を記念)のインスタレーションの前で、筆で和歌を書き、3つの和歌を唱う。風鈴の音は、詩の抜粋が書かれた短冊や抽象画で揺れている。マーグ財団の雑誌『Argile』に掲載されている詩のいくつかを抜粋。

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés
© Dominique Charmette

マチュー・セゲラが詩や文章をフランス語で朗読。

IV – 思考する石

(樫の木の下)

© Philippe Marinig

松井ユカは「ミロの迷宮」が作られる以前からあった石の周りに、他の14個の「紙の石」を配置し、京都の龍安寺の禅庭にある名高い15の石を形成した。ミロ、マルロー、スーラージュらが賞賛した、木々に囲まれた枯山水の庭園である。

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés

マチュー・セゲラが、ピエール・スーラージュによる京都・龍安寺の石庭と樹木についての文章(抜粋)を朗読。

V – 太陽のダンス

(場所:ミロの彫刻「ラ・フォルシェ」の前)

© Matthieu Séguéla

ジョアン・ミロの彫刻に見られる「円」と、アレクサンダー・カルダーのモビール(1965年)に描かれた「三つの黄色い太陽」と呼応する、松井ユカによる伝統的な扇の舞。

色とりどりの帯締めで飾られた2本の幹を通り抜け、ジャコメッティの中庭に入る。この着物の帯締めは、絹(桑の葉を食べる蚕の糸)から組まれており、松の木を鮮やかに彩る。

VI – 砂の書

(場所 : ジャコメッティの中庭、松林の前)

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés

透明な糊と黒い砂を使ってキャンバスに文字が描かれる。

© Matthieu Séguéla

伴奏:尺八

Nicolas Vella pour la © Fondation Maeght, tous droits réservés

午前中は「樹」、午後の終わりには「美」という文字が描かれた。
この二つの文字は、60周年を迎えたマーグ財団美術館へのオマージュとして、パフォーマンスを締めくくる。

マーグ財団美術館のサイトはこちらからご覧いただけます。(フランス語と英語のみ)

ピエール・スーラージュへのオマージュ (2022年11月30日)

去る11月30日(水)、モンペリエのファーブル美術館にて、ミシェル・ヒレール館長、村田優久夫総領事始め、多くの観客の前で、ピエール・スーラージュへ日本の賛辞を捧げました。

オクシタニー 州での日本週間(2022年11月25日〜12月2日) の一環に於いて、以下のような形で敬意を表しました。

– スーラージュの作品が展示されているファーブル美術館の3Fフロアで、書家、アーティストの松井ユカによる芸術的パフォーマンス。この画家の作品に触発された彼女は、過去5年間、セットにあるアーティスト・レジデンスに滞在中、定期的にピエール・スーラージュと会ってきました。

– 1958年にスーラージュを京都で迎えた日本人の友人、吉川逸治の詩集「Poèmes / 詩」の刊行。この詩集には、ピエール・スーラージュが亡くなる直前に選んだ未発表の作品と、コレット・スーラージュが日本で撮影した写真が収録されています (1)。

– ピエール・スーラージュと日本との類まれなる関係について、歴史家のマチュー・セゲラによる講演会。講演は「Soulages, au soleil du Japon / スーラージュ、日本の太陽に照らされて」と題し、豊かな図像と共に解説。

ファーブル美術館 プログラム

15:00-16:00: 「スーラージュ、日本の太陽に照らされて」マチュー・セゲラによる講演。大型スクリーンに映し出された図像資料と共に解説。

16:00 : ポリプティクスの大作「Outrenoir  / ウートルノワール」が展示されている3階の大きなフロアにて、 松井ユカによるパフォーマンス。

場面 I – « 彼は天に輝く» (3)

雅楽の音楽をバックに黒い着物姿の松井ユカが登場(2)黒漆の盆を置き、扇子に詩を書き始める。松井ユカによる5つの短詩の朗読。扇子を使ったパフォーマンス。吉川の詩を「交わる書」で表現、最後に落款印を押して作品を完成。

場面 II – 京都の庭にて : 石と梵鐘

マチュー・セゲラによる、龍安寺の石庭に関するピエール・スーラージュのテキトの朗読。 松井ユカは、石庭の石を象徴する円錐形の和紙のオリジナル作品15点を地面に並べる。それらは寺院と同じ構成で配置され、15 の円錐形のオブジェのうち 14個 しか同時に見ることができない。日本の寺院から繰り返し聞こえてくる梵鐘の音を流し、その音の振動を聞きながら周囲の空間を推測する作家の感覚を、スーラージュのテキストを読みながら表現する。

場面 III – 黒、砂の書 

キャンバスに糊と黒砂で書く「砂の書」を、 松井ユカが観客の前で作り、砂が流れ、文字が現れたところで、公演終了。

(1) 吉川逸治, Poèmes / 詩, メリディアンヌ出版, モンペリエ, 2023年1月
(2) 雅楽とは、8世紀から日本の宮廷で演奏されていた儀式音楽の名称である。ピエール・スーラージュは、この音楽の深い響きとゆったりとしたリズムを気に入っていた。
(3) ピエール・スーラージュの日本の友人、吉川逸二(1908-2002)の詩の一節から。

ViaOccitanie チャンネルで 2022 年 12 月 1 日に放送されたテレビ レポートのリンク →  Lien pour visionner le reportage télévisé diffusé le 1er décembre 2022 sur la chaîne ViaOccitanie 

 

▪️イベント当日の写真リスト

 

IKB カラーに染めた砂
キャンバス
80 cm x 60 cm
2019
スーラージュ美術館 ”イヴ・クラン 青の叫び” 展の一環として行ったパフォーマンスにて制作

寿

寿
墨、砂、糊、キャンバス
65 x 55 cm
駐日スペイン大使館にて揮毫
2019(執行草舟コレクション所蔵、日本)